バルブ基礎知識

Basics

3. ボールバルブの基礎知識

3-1. ボールバルブとは

ボールバルブのボディ内(弁箱内)で、ステム(弁棒)を軸としてボールが回転する構造のバルブです。半導体、食品、医療など多種多様な分野で流体を流す、止めることを目的として使用されています。 バルブ類の中で最も流体抵抗が小さく、90°開閉操作で簡便かつ、開閉状態が一目でわかるという特長があります。

3-2. ボールバルブの歴史

約70数年前ヨーロッパにおいてコックの閉止に玉形をしたものがありましたが、およそ実用とかけ離れたものでした。第二次世界大戦後、各種樹脂工業の早急な発展で、ボールバルブにおいて重要な気密保持部品であるソフトシートが開発されたことにより著しい発展を遂げ、今日に至っております。

過去、わが国における開閉弁の主力は、仕切弁、玉形弁、バタフライ弁等で、ボールバルブは限られた用途に止まっていました。しかし、諸外国での使用状況や、ボールバルブ自体が持っている優れた機能からみて、いずれ国内にも普及することは容易に想像されていました。現在では、優れた機能と利便性から多種多様な分野で使用されています。特に、配管部品においてはなくてはならない存在となっています。

3-3. ボールバルブの構造

ボールの支持方法により、ボールを2枚のボールシートで保持し,流体の圧力によってシールするシンプルでな「フローティング」タイプと、ボールを上下の軸で保持し,スプリングと流体の圧力によりシールする「トラニオン」タイプに区分されます。フローティングタイプは汎用的で、トラニオンタイプは高圧・大口径に適しています。

さらに、ボディを構成する部品点数によって、「1ピース」タイプ、「2ピース」タイプ、「3ピース」タイプに区分することが可能です。

3-4. ボールバルブの機能

■ ソフトシート
樹脂やゴム等の材質で作られた最も一般的なシート。高温での使用に不適。

■ メタルシート
材質が金属であるため低温・高温に強く、特に高温用に用いられる。

■ フルボア
ボールの流路が、管径とほぼ同径のもの。多くの流量を確保できる。フルポート。

■ レデュースボア
ボールの流路が、管径に比べて細くなっているもの。流量は少なくなる。

■ ファイヤーセーフ機構
ソフトシートを使用したボールバルブにおいて、火災等により高温にさらされた時、シートが溶解することによって、大量漏洩を防止する機構。

■ アンチスタティック機構
ソフトシートを使用したボールバルブが、ボールの開閉や流体摩擦等で帯電状態とならないよう、放電する機構。

■ ポケットレス構造
ボディーとボールの間に空間がない構造を指し、食品等の流体の残留による不衛生を防ぐことが可能。

■ 自動バルブ
自動制御や遠隔操作が可能なバルブ。圧縮空気、電動モーター、油圧等が動力に用いられる。

3-5. ボールバルブの特長

1.流路が直線となるため、全開時の流体抵抗が少ない

2.90°等の簡単な操作で開閉可能

3.シール性に優れている

4.セルフワイピング作用があり、かじりにくい

5.PTFT等のソフトシートにおいては、無給油で軽快な操作が可能

3-6. インチサイズの呼び方について

古くからあるインチサイズと、JIS等で定められたメートルサイズがあります。ハマイでは、JIS B 2001によるA呼称を採用し、数字の後に付けるアルファベットの「A」の符号は省略した呼び方を用いています。

インチサイズの表現
表現上の区分
JIS B 2001 による 古くから使われていた表現
A呼称 B呼称
6 1/8 1分
8 1/4 2分
10 3/8 3分
15 1/2 4分
  (5/8) 5分
20 3/4 6分
  (7/8) 7分
25 1 インチ
  (1 1/8) インチ 1分
32 1 1/4 インチコーター(クオーター)
  (1 3/8)  
40 1 1/2 インチ半
  (1 5/8)  
  (1 3/4)  
  (1 7/8)  
50 2 2インチ

※()内はJISの上では削除されている。

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